座る位置(上座下座)のビジネスマナー

ビジネスシーンでは、どこに座るかという「席次」が重要な意味を持ちます。適切な席に座ることは、相手への敬意や配慮を示す大切なビジネスマナーの一つです。しかし、「上座はどこ?」「この場合はどの席に座るべき?」と迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、ビジネスシーンで役立つ上座・下座の基本的な考え方から、様々な場面での適切な座る位置まで、わかりやすく解説します。正しい席次のマナーを身につけて、ビジネスパーソンとしての印象をワンランクアップさせましょう。

座る位置(上座下座)のビジネスマナー基本の「き」

ビジネスシーンでの座る位置には、「上座」と「下座」という概念があります。座る位置(上座下座)のビジネスマナーの基本は、目上の人やお客様には上座に座っていただき、自分は下座に座るという原則です。この基本を押さえておくことで、様々な場面での適切な対応が可能になります。

座る位置(上座下座)のビジネスマナー基本の「き」

上座と下座の基本的な考え方

上座とは、最も格式の高い席、つまり目上の人やお客様に座っていただく席のことです。一般的には、出入口から最も遠い席が上座とされています。これは、出入口付近は人の出入りがあって落ち着かないため、より静かで安全な奥の席を大切な人に提供するという考えからきています。

反対に、下座は出入口に最も近い席で、役職の低い人や案内役が座る席です。下座に座ることで、お茶を出したり資料を配ったりといった動きがしやすくなるという実用的な側面もあります。

ビジネスアドバイザー

席次の基本は「相手を敬う気持ち」です。上座・下座の位置を覚えるのに迷ったら、「どの席が最も快適で安心できるか」と考えると自然と正解に近づきますよ。

目上の人の基準とは

「目上の人」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか。基本的には、立場、役職、年齢が自分より上の人が「目上の人」となります。同じ役職の場合は社歴が長い方、社歴も同じなら年齢が上の方が目上となります。

また、社外の人との関係では、取引先やお客様は基本的に「目上の人」として扱います。特に自社を訪問されたお客様に対しては、丁重にもてなす意味でも上座へご案内することが大切です。

  • 上座:出入口から最も遠い席(目上の人・お客様用)
  • 下座:出入口に最も近い席(自分・案内役用)
  • 目上の人:役職、社歴、年齢が上の人、お客様
  • 基本原則:目上の人・お客様を上座に案内する

シーン別!座る位置(上座下座)のビジネスマナー実践ガイド

上座・下座の基本を理解したところで、具体的なシーン別の座る位置について見ていきましょう。場所によって上座・下座の位置が変わることもあるため、それぞれの特徴を押さえておくことが重要です。

会議室での座る位置

会議室では、基本的に出入口から最も遠い席が上座となります。長方形のテーブルを使用する一般的な会議室では、出入口の反対側の中央が最上席となることが多いです。

議長や進行役がいる場合は、議長席に近い出入口から遠い席が上座となります。コの字型の配置では、議長の右隣が最上席で、以降は議長から見て右側、左側と交互に席次が決まっていきます。

社外からお客様を迎える場合は、出入口から遠い側の席にお客様に座っていただき、自社側は出入口に近い側に座るのが基本です。この時、お互いの上席者が向かい合うように座ると、スムーズなコミュニケーションが取りやすくなります。

ビジネスアドバイザー

会議室に窓があり、素晴らしい景色が見える場合は、その景色を楽しめる席が上座になることもあります。臨機応変な対応も大切なビジネスマナーの一つですよ。

応接室での座る位置

応接室でも基本的には出入口から最も遠い席が上座です。ただし、応接室の場合は家具の種類も席次に影響します。一般的に、長椅子(ソファ)は一人掛けの椅子よりも格が高いとされ、長椅子が置かれている側が上座となることが多いです。

また、応接室に絵画や窓からの景色がある場合は、それを正面から見られる席が上座となることもあります。このように、応接室では単に出入口からの距離だけでなく、快適さや景観なども考慮して上座が決まることがあります。

  • 会議室:出入口から最も遠い席が上座
  • 議長がいる場合:議長席に近い出入口から遠い席が上座
  • 応接室:出入口から最も遠い席、または長椅子側が上座
  • 景観がある場合:絵画や窓からの景色を正面から見られる席が上座になることも
こちらも読まれています

乗り物での座る位置(上座下座)のビジネスマナー

ビジネスシーンでは、会議室や応接室だけでなく、移動中の乗り物の中でも席次のマナーが適用されます。タクシーや社用車、電車や新幹線など、乗り物ごとの適切な座る位置を理解しておきましょう。

乗り物での座る位置(上座下座)のビジネスマナー

タクシーや社用車での座る位置

タクシーでは、後部座席の運転席の後ろが上座とされています。これは、運転席の後ろが最も安全で快適な席とされているためです。次に格が高いのは後部座席の助手席側、最も格が低いのが助手席です。

3人でタクシーに乗る場合は、最も役職が高い人が運転席後ろ、次に役職が高い人が助手席後ろ、最も役職が低い人(または案内役)が真ん中に座るのが一般的です。ただし、海外では助手席後ろが上座とされることもあるため、国際的な場面では注意が必要です。

社用車の場合、運転手が誰かによって席次が変わります。専属の運転手がいる場合はタクシーと同じですが、同行者が運転する場合は助手席が上座になることもあります。これは、会話のしやすさを考慮したものです。

座る位置(上座下座)のビジネスマナーは乗り物によっても異なり、タクシーでは運転席後ろが上座、電車や新幹線では窓側が上座となるなど、それぞれの特性に合わせた席次があります

ビジネスアドバイザー

タクシーでの席次は「安全性」が基準になっています。運転席後ろは事故の際に最も安全とされる位置なので、大切な人をこの席に案内するのがマナーなんですよ。

電車や新幹線での座る位置

電車や新幹線では、窓側の席が上座とされています。これは、窓側の方が景色を楽しめることや、人の往来が少なく落ち着いて過ごせるという理由からです。

ボックス席(向かい合わせの座席)の場合は、進行方向を向いている窓側の席が最上座となります。次いで進行方向を向いている通路側、進行方向と反対向きの窓側、最後に進行方向と反対向きの通路側という順になります。

また、車両の出入口付近の座席の場合は、出入口から遠い席の方が上座となります。これは、出入口付近は人の出入りが多く落ち着かないため、より静かな環境を目上の人に提供するという配慮からです。

  • タクシー:後部座席の運転席後ろが上座
  • 社用車:運転手が誰かによって席次が変わる
  • 電車・新幹線:窓側が上座、進行方向を向いている席が優先
  • ボックス席:進行方向を向いている窓側が最上座

食事の場での座る位置(上座下座)のビジネスマナー

ビジネスでの食事の場も、重要な商談や人間関係構築の機会です。レストランや料亭など、食事の場での適切な座る位置を理解し、スムーズな接待や会食を実現しましょう。

和室(料亭など)での座る位置

和室では、床の間に最も近い席が上座とされています。床の間とは、掛け軸や生け花などが飾られた一段高くなった空間のことで、日本の伝統的な座敷の格式を象徴するものです。

床の間が左奥にある一般的な和室では、床の間に最も近い席が最上座となり、入口に近づくにつれて席次が下がっていきます。床の間が右側にある場合も、床の間に最も近く入口から遠い席が上座となります。

接待の場合、お客様側が1、3、5の席に、接待側が2、4、6の席に座ることが多いです。これにより、お互いの上席者が向かい合って会話しやすくなります。

洋食レストランや円卓での座る位置

洋食レストランの長方形テーブルでも、基本的には入口から最も遠い席が上座となります。ただし、窓からの景色が素晴らしい場合や、店内の装飾品が見える位置など、より快適な環境を提供できる席が上座となることもあります。

中華料理店などでよく見られる円卓の場合は、入口から最も遠い席が上座となります。その後は、上座の人から見て左側、右側と交互に席次が決まり、入口に最も近い席が下座となります。

ビジネスアドバイザー

食事の席で迷ったら、お店の方に「どちらが上座でしょうか」と事前に確認するのも一つの方法です。プロの意見を参考にすれば失敗しませんよ。

  • 和室:床の間に最も近い席が上座
  • 洋食レストラン:入口から最も遠い席が上座
  • 円卓:入口から最も遠い席が上座、以降左右交互に席次が決まる
  • 景観がある場合:窓からの景色や装飾品が見える席が上座になることも

よくある質問

質問1:会議室で上座と下座の位置がわからない場合、どう判断すればよいですか?
回答 基本的に出入口から最も遠い席が上座、最も近い席が下座です。議長席がある場合は、議長席に近く出入口から遠い席が上座となります。
ビジネスアドバイザー

迷ったときは「どの席が最も快適で安心できるか」と考えると自然と正解に近づきます。窓からの景色が良い席や静かな環境の席が上座になることも多いですよ。

質問2:タクシーに上司と乗る場合、どの席に座るべきですか?
回答 上司には後部座席の運転席後ろ(上座)に座っていただき、あなたは後部座席の助手席側か真ん中に座りましょう。ドアの開閉は必ずあなたが行うのがマナーです。
質問3:円卓での食事会で、上座と下座はどのように決まりますか?
回答 円卓では入口から最も遠い席が上座となります。上座から見て左側、右側と交互に席次が決まり、入口に最も近い席が下座です。
ビジネスアドバイザー

円卓での席次は事前に決めておくと安心です。名札を置いておくか、さりげなく「こちらのお席へどうぞ」と案内すると、スマートに対応できますよ。

質問4:新幹線のボックス席(向かい合わせの座席)での席次はどうなりますか?
回答 進行方向を向いている窓側の席が最上座、次いで進行方向を向いている通路側、進行方向と反対向きの窓側、最後に進行方向と反対向きの通路側という順になります。上司や目上の方には最上座をご案内しましょう。
質問5:和室(料亭など)での座る位置で気をつけるべきポイントはありますか?
回答 和室では床の間に最も近い席が上座です。接待の場合、お客様側が1、3、5の席に、接待側が2、4、6の席に座ると、お互いの上席者が向かい合って会話しやすくなります。