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本物のおとな論 ―人生を豊かにする作法―
著 者
外山滋比古
定 価
  本体1000円+税
発 行
  2016.9
ISBN
  978-4-7593-1480-9
本物のおとな論 ―人生を豊かにする作法―
知性あるおとなになりたい人へ

高学歴化した日本。それでも昔に比べて、立派な大人が増えたと言えるのでしょうか。モラトリアムが長くなった分、大人のなり方がわからない人があらわれているのではないでしょうか。「生活」よりも「知識」を重んじる教育では、ほんとうの大人は育ちません。生活の中で大人としての自分を磨いたときに、ほんとうに豊かな人生が始まります。92歳となった「知の巨人」の、大人として生きる知恵が満載です。


T 大人の生活

U 大人の会話

V 大人の作法

W 大人の育成

X 大人の愛情

Y 大人の苦労

Z 大人の知性


 あるとき、雑談をしていた仲間のひとりが、このごろ、大人がすくなくなってきたのではないでしょうか≠ニ言ったことばにつよい印象を受けた。たしかに、そういう気がする。それから、ときどき、この問題を考えるようになった。
 なんのかんのと言うけれど、世の中、すこしずつ良くなっている。教育も普及して、高等教育を受ける人がおびただしく増加した。めでたいことずくめのようなのに、いつまでも一人前の人間にならない大きなこどもがふえた。
 それは当り前である。学校は、生活を停止して知識を教えるところで、何年、学校にいても生活経験はすこしもふえない。大人は生活経験によってみがき上げられるものだから、学校を出た人が生活に欠けるのはむしろ当然。いつまでもこども的である。大人になれない。
 それに家庭が豊かになった。こどもがすくなく、ひとりっ子がふえる。子だくさんの家庭で、もまれるようにして育つ子は、早く大人になることができるが、ハコ入りこども≠謔しく大事に育てられたのでは、そもそも、生活がないのである。いつまでたっても大人になることが難しい。
 かつては、若いうちに大人になることができたけれども、いまは、そうはいかない。心ある人は中年になりかけるところで大人になろうとする。大人の年齢がそれだけ高くなったということもできるが、長生きできるようになったのだから、大人の年齢が高くなっても、心配することはないかもしれない。
 問題は、中年になっても大人になれない人たちがすくなくないことである。大きなこどものまま老年を迎えればどういうことになるか。一部ではそれが現実になっている。決してよい高齢者だとは言えない。
 手おくれになる前に、大人になる努力をはじめなくてはならないが、多くがうっかりしている。
(「はじめに」より)

200万部のベストセラー『思考の整理学』著者による、待望の書き下ろしエッセイです。先生のウィットに富んだ語り口を味わいながら、大人とはどんな存在か、普段の自分の行動をふりかえるきっかけにもなります。手にとりやすく読みやすい新書サイズで、パラパラとめくりながら楽しんでいただきたいです。


外山 滋比古(とやま しげひこ)

1923年生まれ。評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒。『英語青年』編集を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授などを歴任。専門の英文学のみならず、思考、日本語論などさまざまな分野で創造的な仕事を続け、その存在は、「知の巨匠」と称される。著書に、『思考の整理学』(ちくま文庫)、『知的生活習慣』(ちくま新書)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)、『50代から始める知的生活術』(大和書房)などがある。





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